【体験記】2022年北海道士幌町でお試し移住

移住

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「お試し移住」というのをご存知でしょうか?

移住を検討している方に、実際にその土地での暮らしを体験することで、地域の魅力や移住後のイメージを具体的にしてもらおうという地方自治体のサービスの一つです。

わが家は2022年6月に、家族4人で北海道士幌町の移住体験を10日間、利用しました。

移住の目的は「夏を快適に暮らすため」

わが家の移住の目的は、暑すぎて危険な夏の間を、快適で安全に過ごせる地域で過ごすことです。

毎年最高気温の記録が更新される昨今の夏。遊具で火傷するほど暑い季節は、子どもを外で遊ばせるのが心配になります。とはいえ貴重な幼少期の夏の大半を、屋内で過ごさせるのは勿体ない!

  • 子どもが外で思いっきり遊んでも安全な夏の気候
  • 都心にはない、大きな遊具を備えた公園がある
  • 自然体験を経験させられる

このような条件で検討して、北海道士幌町の「お試し移住」を利用してみることにしました。

士幌町はこんなところ

北海道十勝地方に位置する士幌町は、じゃがいもをはじめとした畑作風景がどこまでも広がり、肉牛飼育頭数は日本一という、まさに農業のまちです。

  • 夏の気温:約30度

夏の気温は約30度。カラッとした暑さです。

  • 特産品:じゃがいも、小麦、豆類など

特産品はじゃがいも、小麦、豆類、てん菜、スイートコーンなどの農産物や『しほろ牛』。町内のレストランやカフェでは、しほろ牛や産直野菜を贅沢に使用したハンバーグやカレーなどのグルメが楽しめます。

  • メインのスーパー:「Aコープ 士幌店 ASPO」

とても綺麗でおしゃれな道の駅です。士幌町の特産品が置いてあるので、お土産などはここに行けば手に入ります。

  • 公園:士幌コミュニティー広場

小学校の向かい側にある公園です。側を流れる浅い川はきれいで、長靴で入って遊ぶことができます。滞在中は、何度かふらっと立ち寄っていたのですが、地元の小学校低学年の子が人懐っこく、わが子と遊んでくれました。

モール温泉。全浴槽源泉かけ流し!移住体験施設から徒歩3分ほどのところに、「しほろ温泉プラザ緑風」があります。

士幌町では、町民の健康増進のために全世帯にしほろ温泉の無料入湯券(10枚綴り)が配布されています。これが、なんと移住体験者にも配布していただけたので、移住体験中はほぼ毎日、温泉通いしました。

北海道内では圧倒的なシェアを誇り、道民に「セコマ」「セイコマ」などの愛称で親しまれているコンビニ。惣菜などの豊富な品揃えと驚異的な安さ、そして美味しい!

大雪山国立公園内にある士幌高原ヌプカの里は、士幌市街から車で20 分、標高600mにあり、士幌高原から十勝平野を一望できます。

  • カフェ:MILK & CHEESE & SURPRISE! Ohki Farm

自家製モッツァレラチーズを使用し、本格ピザ窯で焼きあげたピザが絶品。バリアフリーの店内とキッズスペースが設けられており、家族連れでも落ち着いて食事を楽しむことができます。

士幌町のデメリット

  • 士幌町には常設の小児科がない

救急や受診する科によっては、音更町や帯広市へ出なければいけません。

※令和5年5月から週3日午前中のみ、小児科外来が開設されました

(士幌町国民健康保険病院  https://www.shihoro.jp/shihoro_hospital/ )

  • 場所によっては通信環境が不安定

移住体験施設が建てられている場所は、町から外れた谷になっており、ラジオやインターネットの通信環境があまりよくありませんでした。本格的に移住を決めたら、地形選びに注意が必要かもしれません。

士幌町の周辺都市:滞在中に訪れた都市

士幌町から南方向に音更町、帯広市、中札内村、更別があります。

音更町(おとふけ)

音更町は、十勝地方と新千歳空港をつなぐ「帯広北バイパスの入り口」に接する町で、十勝管内はもちろん札幌や東京への移動が大変便利です。

落ち着いた街でありながら商業施設や飲食店・生活用品のほか、各種医療施設など生活に必要な環境が整っています。

日本有数の大きさを誇るふわふわドームや水遊び場、ビジターセンターに小さい子ども向けのスペースがあります。

十勝地方を代表するお菓子屋さん。バウムクーヘンの「三方六」や朝の連ドラ(なつぞら)で人気に火が着いた「あんバタサン」など和・洋菓子を多数販売されています。

  • 売鮮市場どんどん 音更店

品ぞろえがよく安く、ローカル商品を取り扱っており、面白いスーパーです。

帯広市

帯広市は十勝地方の中核都市。豊かな自然環境と快適な都市機能とが調和しており、魅力的なグルメやお店が多く、移住先として人気です。平日はオフィスワーク、休日は大自然の中でアウトドアを楽しめる環境が整っています。

  • 帯広はスイーツ激戦区!

十勝地方は、お菓子の原材料である小麦、砂糖、乳製品、豆類などの産地です!そのためスイーツやパンの名店が市内にはたくさんあります。

北海道土産といえば「マルセイバターサンド」。その本店でしか食べられない限定商品がいくつかあります。バターサンドの美味しさをアイスで再現した「マルセイアイスサンド」や、賞味期限が3時間という短さの「サクサクパイ」は、ここでしか味わえない逸品です。

日本一の敷地面積をほこるパン屋さん。石窯で焼いたピザ、揚げたてのカレーパンやドーナツ、焼きたてのパンがたくさん売られており、 カフェスペースや広いテラスでは、目の前に広がる十勝の光景を見ながらパンを楽しむことができます。

中札内村・更別村エリア

帯広市から南方へ約28キロ、帯広空港から車で10分くらいの位置にあり、日高山脈のすそのに広がる農村地帯。清流日本一になった札内川が流れる、美しい景観が広がります。

  • 旧国鉄 広尾線 幸福駅跡

「愛の国から幸福へ」のキャッチフレーズで知られる帯広市幸福町にある旧国鉄広尾線の駅名です。廃車になったローカル列車2両が展示されています。

  • 道の駅 なかさつない
  • ピッツェリア ツカ

更別村の人気のピザ屋さん。隣接するチーズ工房で作られているチーズも店内で購入できます。

  • 更別農村公園

30以上の遊び要素が詰まった大型遊具があります。ちょうど滞在したとき、近隣の小学生が学外授業で来ており、子どもと一緒に遊んでくれました。

足寄町・本別村エリア

士幌町から東方向に足寄町、本別村があります。

足寄町は日本一広い町。町の8割が森林で、阿寒摩周国立公園のオンネトーもあり、自然豊かな町です保育料完全無償化や足寄高校生対象の学習塾無料など、子育てのサポート体制も整っています。

  • 里見が丘公園

延長51m・落差10mをローラーで滑る大型滑り台をはじめ、ターザンロープ、ふわふわドーム、水遊びができる遊水路、疲れた足を癒すことができる足湯があります。地元の小学生や園児がバスに乗って遊びに来ていました。

木製アスレチック、キャンプ場、パークゴルフ場があり、ゴーカートやボートも楽しむことができます。

【体験談】移住体験をしてよかったこと&困ったこと

士幌町移住ポータルサイト:https://www.shihoro.jp/move/

利用条件:移住を真剣に考える方

利用期間:体験住宅の貸付期間は、原則10泊以上、最長6ヶ月以内。

利用料金:1泊3,000円(電気料、上下水道料金、放送受信料、インターネット回線使用料を含む)。ただし、飲食費、洗面具、衛生用品等の日常消耗品、追加で必要な寝具レンタル料等は借受者の負担 。

  • 申請から退居までのスケジュール

申請時期:1月上旬~1月下旬締切

内定通知:2月中頃。申請書、住民票などを提出。

入居初日:開庁している平日の日中に士幌町役場にて入居手続き。

最終日:11時までに清掃して立ち合い、退居。

※多くの自治体が入居・退去

よかったこと

  • 湿度が低くサラッとした気候
  • 見るものすべてが絶景
  • 大型遊具がある公園が多い
  • おしゃれで魅力的な道の駅が多い
  • 道の駅に子ども用の遊び場が併設されている
  • 世界でも珍しい植物系の温泉(モール温泉)がある
  • 満天の星空
  • クワガタを拾い放題
  • 美味しいご当地グルメが多い
  • 湿度が低くサラッとした気候

士幌町の6月の平均気温は20.5度なのに、滞在した期間は過去にないほど暑く、日中は30度前後でしたが、それでも朝・晩は涼しく快適で、水道水がとても冷たくて美味しかったです。

  • 大型遊具がある公園が多い

音更の北海道立十勝エコロジーパーク・ビジターセンター、更別の農村公園、足寄の里見が丘公園、本別の本別公園など、子どもが思い切り楽しめる大型遊具と広大な公園が点在していて、とても楽しかったです。

  • おしゃれで魅力的な道の駅が多い

士幌町のグルメをまるっとお持ち帰りできるような幅広い品揃えのショップがそろった道の駅ピア21しほろや、大型の木製遊具やNHK連続テレビ小説「なつぞら」の世界観を体感できる施設をそなえた道の駅おとふけ なつぞらのふる里など、魅力的な道の駅多く、「道の駅めぐり」が楽しかったです。

  • 世界でも珍しい植物系の温泉(モール温泉)がある

植物性の有機物を多く含むモール温泉は、世界でも希少な泉質で北海道遺産に選定されています。硫黄温泉よりも肌にやさしく「美人の湯」と称されています。移住体験施設から徒歩3分のところにあるしほろ温泉プラザ緑風の無料入場券をいただけるので、毎日入りにいきました。

  • クワガタを拾い放題

移住体験施設は町から少し離れたところにあるため、一歩外に出ると「満天の星空」を見ることができます。そして街灯の下にはミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタがたくさん落ちていました!虫網も必要なく、文字通り拾い放題です。たまたま持っていたビニール袋いっぱいに捕まえることができました。

  • 美味しいご当地グルメが多い

畑作や酪農などの農業が盛んな十勝地方には、そこでしか食べられないご当地グルメが豊富です。士幌町でしか手に入らない「生産者還元用ポテトチップス」やしほろ牛100%のハンバーガー、名物の豚丼。帯広市にある数多くのスイーツの名店など。

そして豊富なソフトクリームの種類。どの店舗もハイクオリティなので、自分の好みのものが見つけられるでしょう。

困ったこと

  • 物価が高い
  • ゴミ出しの分別が細かい
  • 虫が多い
  • 車必須
  • 子どもを遊ばせながらリモートワークは大変
  • 物価が高い

酪農が盛んな十勝において、物価が高いというイメージを抱いている方は少ないと思いますが、実際は直売所の野菜も東京に比べて割高に感じてビックリしました。牧場がそこかしこにあるのに、牛乳やヨーグルトなどの乳製品もなぜか道外より高いことも不思議です。

ただ、野菜類に関しては北海道産の収穫時期はかなり安くなるそうなので、滞在時期が悪かったのかもしれません。

  • ゴミ出しの分別が細かい

東京と比べると、士幌町のごみの分別が細かいので戸惑いました。

  • 虫が多い

移住施設が山側にあったからかもしれませんが、蜘蛛や虫がとても多かったです。移住体験施設には風除室があるのですが、そのおかげで虫の侵入をかなり防いでいました。周辺地域の住宅を観察すると、風除室がないお家も多くありましたが、私には必須に感じました。

  • 車が必須

車が必須なため、レンタカー代が高額になります。また公園に行くにも車が必要なので、仕事の合間をぬって遊び場に連れて行くのが大変でした。

  • 子どもを遊ばせながらリモートワークは大変

移住体験施設から子どもの遊び場までは、車で約20分~1時間以上走らないとありません。普段は保育園に預けて仕事に集中できますが、移住体験中は子どもを見ながら仕事をします。日中は交代で仕事をし、足りない時間は子どもが寝た後に仕事をしていました。

士幌町の補助制度 一覧

  • 出産応援ギフト
  • 子育て応援ギフト
  • 乳幼児等医療費助成制度
  • 仲介手数料の助成
  • 住宅購入に関する補助制度
  • しほろ温泉プラザ緑風 無料入湯券の配布
  • お米・牛乳子育て応援事業
  • 出産応援ギフト

令和4年4月1日以降に妊娠の届出・出生した児童の母に、出産子育て関連用品の費用負担軽減のため、支給対象者の妊娠1回につき、50,000円の給付。

  • 子育て応援ギフト

令和4年4月1日以降に出生した児童の養育者に、子育て関連用品購入費の負担軽減のために、対象児童1人につき、50,000円の給付。

  • 乳幼児等医療費助成制度

高校生(満18歳の年度末)まで、道内医療機関における保険診療分の自己負担金なし。

  • 仲介手数料の助成

町外移住者の賃貸住宅に入居した方に対して、転入に係る仲介手数料の一部を助成。

  • 住宅購入に関する補助制度

士幌町にマイホームを持って10年以上定住される方に、住宅の建設・購入費用を補助。

町民の健康増進と施設の利用促進のため、全世帯にしほろ温泉の無料入湯券(10枚綴り)を配布。

「おこめギフト券」または「おこめ券」と「牛乳贈答券」、8,160円相当分を補助。

【体験記】2022年北海道士幌町でお試し移住 まとめ

十勝地方は新千歳空港からもアクセスが良く、広大な牧歌的風景イメージそのままの「北海道らしさ」と、帯広を中心とする「住むことでしか味わえない魅力」を様々なところで感じることができました。

しかし、子どもの遊び場まで車で送り迎えする必要があるなど、仕事との両立に難しさも知りました。ここはワーケーション施設を利用するなど工夫する余地を残しているので、今後の課題となりそうです。

(十勝管内のワーケーション施設 ガイドブック https://www.hkd.meti.go.jp/hokcf/20210308/index.htm

子どもがいる季節移住は、家族全員が楽しめる環境でなければ「成功」とは言えないと考えています。勢いで移住するタイプではない私にとって、一定期間を「お試し移住」できるサービスはとてもありがたいものでした。

季節移住に興味があるかたは、ぜひ「お試し移住」のから始めてみてはいかがでしょうか。この【体験記】がどなたかの参考になれば幸いです。

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